平滑化スプラインとは株式価格・為替相場・商品相場などの市場価格のようにランダム変動と規則変動が混在して、複雑に千変万化する価格データを『平滑化』して、それらのデータの中心をとおる最も滑らかな曲線を、平滑化スプライン関数によって計算したものであります。
このグラフAAは円相場 月足の2009年2月時点のグラフです。データ数は140月分あります。
データの中心を走る極めて滑らかなピンク色の線が平滑化スプラインです。
平滑化スプライン関数に計算のために入力する平滑化パラメーターは500であります。グラフにも記載しております。月足の終値で計算しております。
当月値以降の近未来のデータは、平滑化スプラインをテイラー展開して予測値としました。
次に平滑化スプラインから円相場 月足の終値までの差を求めます。この差の分布は左右対象の山形のような正規分布に近似しております。
次に、標準正規分布表から値zを見て、
平滑化スプライン+標準偏差×値z から偏差確率上方線を求めます。
同様にして、平滑化スプライン−標準偏差×値z から偏差確率下方線を求めます。
このグラフAAに標準正規分布表の値zは2.5と置いて計算しました。標準正規分布表の値zが2.5の確率は98.76%であります。
故に、円相場 月足の終値が偏差確率上方線と、偏差確率下方線の範囲内にある確率は98.76%になります。
一方、このグラフAAの標準偏差の計算対象データ数は140個であります。
故に、グラフAAから実測される月足の終値が偏差確率上方線、下方線の範囲内に
ある確率は138÷140=0.9857で98.57%になり、上記の98.76%とほぼ同じであります。
標準正規分布表を見ますと値zから確率%が求められます。確率%からも値zが求められます。
このグラフで、次の月足の2009年3月時点の終値データが確定したら、それを入力します。平滑化パラメーターも入力して、グラフを最新のものに更新します。
パラメーターは500でも良いし、その前後でも良いし、その分析と予測の目的に応じてパラメーターの数値を変えます。
次のグラフAAを見てください。
平滑化スプラインと記載して矢印で指し示しております。
この平滑化スプラインは140個あるデータの最初から最後までカバーしております。
これから標準偏差を計算します。
この線は同じグラフAAに記載及び矢印で示したグリーンの線であります。
同様に同じグラフAAに記載及び矢印で示したグリーンの線であります。
月足の終値で偏差確率上方線、下方線の範囲外にあるデータ数は2個が認められます。
例えば確率95%ならば標準正規分布表から求める値zは1.96であります。
次のグラフBBを見てください。
このグラフはグラフAAのグラフの平滑化スプライン関数に平滑化パラメーターを20と入力しただけです。
明らかにグラフAAよりも細かい波動やトレンドを滑らかな曲線で示しております。
このグラフで偏差確率上方線、下方線の範囲外にあるデータ数は2個が認められます。故に、実測される確率はグラフAAと同じ98.57%であります。
次のグラフBBBを見てください。
このグラフはグラフAAのグラフの平滑化スプライン関数に平滑化パラメーターを3と入力しただけです。
明らかにグラフBBよりも細かい波動やトレンドを滑らかな曲線で示しております。
次のグラフCCCを見てください。
このグラフはグラフAAのグラフの平滑化スプライン関数に平滑化パラメーターを2万と入力しただけです。
明らかにグラフAAよりも大きい波動やトレンドを滑らかな曲線で示しております。
これは上のグラフに平滑化パラメーターを100万としたものです。
平滑化スプラインは、ほぼ一直線であります。これは最小自乗法による直線回帰線に極めて近似しております。
前述のように、平滑化パラメーターの数値を極めて0に近い数(例えば0.000001)から、100万を超える数を入力することにより、各種各様の平滑化スプラインを形成いたします。
このように平滑化スプラインは硬軟交錯して、明快な波動、リズム、トレンドを指し示します。
かくして、市場価格の変動を柔軟にキヤッチして、市場価格の全ての局面の分析を可能にします。
その故に、市場価格の変動の分析と近未来予測に大いに有用・有効であります。
上述したのと同じ方法で平滑化スプライン中心線と標準偏差を求めました。
標準偏差は通常σ(シグマ)で表示されます。
平滑化スプライン中心線に添って、+1σ、+2σ、+3σ、−1σ、−2σ、−3σの各曲線を求め、描画しました。
±1σの間にある価格データは68.27%。
±2σの間にある価格データは95.45%。
±3σの間にある価格データは99.73%であります。
上の各日足で、翌日以降の価格は±1σの間に68.27%の確率で落ちるということであります。
同様に、±2σの間に落ちる確率は95.45%になります。
同様に、±3σの間に落ちる確率はは99.73%であります。
更に、詳しくは+1σ〜+2σの間に落ちる確率は13.59%になります。
−1σ〜−2σの間に落ちる確率も、同じく13.59%になります。
+2σ〜+3σの間に落ちる確率は2.14%になります。
−2σ〜−3σの間に落ちる確率も、同じく2.14%になります。
+3σ以上の間に落ちる確率は0.135%になります。
稀なケースであります。
+3σ以上の場合、上昇トレンドの時は上昇トレンドが加速されたことになり、トレンドは不変であります。
下降トレンドの場合は+3σ以上の場合及び+3σの近傍を含めて、トレンドの転換の可能性が極めて高くなります。
−3σ以下の場合は全て逆になります。
次のグラフDDを見てください。
上述したのと同じ方法で偏差確率上方線と偏差確率下方線の各%の曲線を求めました。
文字で記載し、矢印で指し示しております。矢印は中の2個を省略しました。
偏差確率下方線の『買い99%』の曲線はドル安円高が進行して、その曲線以下になった場合、グラフ上方の『買い99%』から『売り99%』の曲線までの範囲内に戻る確率が99%であることを指し示しております。
つまり、その時点でドル買い円売りを行えば、値幅はランダムですが99%の確率でドルの上昇が期待され、円相場投資が成功します。
『買い90%』も同様に『買い90%』から『売り90%』までの範囲内に戻る確率が90%であることを指し示しております。
更に深く考察すると『買い90%』の曲線は平滑化スプライン中心線からは45%の曲線であります。
そして、平滑化スプライン中心線から上方の部分は50%になります。
それ故に、円相場(対ドル)の『買い90%』の曲線以上の部分の確率は45%+50%=95%になります。
つまり、円相場(対ドル)が『買い90%』の曲線以下なった時点でドル買い円売りを行えば、値幅はランダムですが95%の確率でドルの上昇が期待され、円相場投資が成功します。
偏差確率上方線の『売り99%』の曲線は、前述の場合と逆に『買い99%』の曲線までの範囲内に戻る確率が99%であることを指し示しております。
他の曲線も同様であります。
次のデータの終値が確定したら、それを入力して、平滑化パラメーターも入力して、グラフを最新のものに更新します。
なお、次のデータで終値が確定しない途中の時でも、そのデータと平滑化パラメーターを入力して分析と予測に役立てることができます。
上記の『確率マップで逆張り』は市場価格の変動がボックストレンド、または緩やかな上昇トレンド、下降トレンドを続けるという前提で成立します。
この前提が破られたら、その価格変動の流れやトレンドが変わったのでありますから、直ちに別の手法に切り替えてください。
以上は証券・為替・商品を含む全ての市場データの年足、月足、半月足、
日足、時間足、分足(30分足、10分足、5分足、1分足等)にも同様に
適用される。
上記のグラフは始値、高値、安値、終値の有るローソク足であるが、
高値、安値、終値のみの足、または高値、安値のみの足、
または終値のみの足、等にも同様に適用される。
以上の各グラフの各計算は対数で求めているが、自然数で求めてもほぼ同様である。
対数で計算したものは自然数に変換してグラフ化する。
また、終値で求めているが始値、中値等で求めてもほぼ同様である。
グラフの各々の色または線分は何色を使用しても、または線幅の大小にも
関係なく、効果は同様である。
以上の各グラフの計算方法、各グラフ、各グラフ化の方法等と説明文の著作権、知的財産権は『山田 益弘』が所有する。